『上白石萌音』千と千尋のカオナシ役・菅原小春「子どもたちの未来になれたら」舞台化への思い

『上白石萌音』千と千尋のカオナシ役・菅原小春「子どもたちの未来になれたら」舞台化への思い

『上白石萌音』千と千尋のカオナシ役・菅原小春「子どもたちの未来になれたら」舞台化への思い

宮﨑駿さんによるアニメーション映画の最高傑作『千と千尋の神隠し』が、世界で初めて舞台化することが決定。2022年2月と3月に上演される東京・帝国劇場を皮切りに、全国へと展開されます。今回「カオナシ」役に抜擢された世界的ダンサー・菅原小春さんにお話をうかがいました。

カオナシをやるからにはすべてを捧げてやり遂げる

世界中で愛され続けてきた『千と千尋の神隠し』の初舞台化は、2017年の企画の構想から、実に開幕まで5年の歳月をかけたビッグプロジェクト。翻案・演出は、『レ・ミゼラブル』世界初演の潤色・演出でロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの名誉アソシエイトディレクターであり、宮﨑駿作品の大ファンだという、ジョン・ケアードさんが担当します。

舞台上に再現されるのは、千尋が働く湯屋。Wキャストで主演の千尋役を務める橋本環奈さんと上白石萌音さんをはじめとして、舞台『千と千尋の神隠し』には、錚々たるキャストがずらり勢揃い。

なかでも、劇中で印象深い「カオナシ」役は、世界的に活躍するダンサーの菅原小春さんと辻本知彦さんをWキャストとして、ジョン・ケアードが抜擢。今回、めったに撮影で使用されないという「三鷹の森ジブリ美術館」で、菅原さんの取材を行いました。

ーーご出演が決まった率直なお気持ちからお聞かせください。

いまは“最高”と“最悪”という、相反する気持ちが混ざっています。宮﨑駿さんの『千と千尋の神隠し』の世界に入れるなんてうれしくて心からやりたい反面、お仕事では絶対にやりたくない。という気持ちもあって。

でも、子どもたちが生で舞台を観ることができるのは素敵なことだから、やるからには私のすべてを捧げて、やり遂げる。と思っています。

ーーもともとジブリ作品はお好きだとうかがっていますが、映画『千と千尋の神隠し』のなかで、一番好きなシーンはありますか。

やっぱりこれですね、「えんがちょ」のシーン! 湯屋のボイラー室で、釜爺と千尋がいて、その横に下働きをしているススワタリと坊ネズミがいて。坊が「えんがちょ」するときに、ススワタリが騒いで、うわってなるところがとっても素敵。あのチームワークが好きですね。

ーー舞台ではカオナシ役を演じられますが、映画のカオナシはどんな印象でしたか。

ジブリ作品のなかで唯一映画館で観られたのが『千と千尋の神隠し』だったんです。カオナシは小学生だった私にとって、衝撃的で怖かったんですよね。「怖いもの観に来ちゃったな」って。

ーーカオナシ役としてWキャストとなる辻本さんとは、歌も踊りもお子さんから大人まで親しめる楽曲「パプリカ」の振り付けを共作されましたよね。うちの娘も保育園の運動会をはじめ普段よく踊っていました。今回、おふたりで役についてお話しされましたか。

私はすごくエンターテインメントが好きだし、辻本さんはすごい芸術家の方だし。ふたりは真逆のタイプですが、家族であり、仲間であり、師匠であり、人間である。ふたりの一番清い中間点を、カオナシという役で舞っていこうと思います。

(C) 2001 Studio Ghibli・NDDTM

――菅原さんといえば、ダンサーとしての活動はもちろん、「パプリカ」のように振り付けを担当することもあれば、2019年のNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』での女優としての活動もあります。それぞれご自身のなかでは、どのような違いを感じていますか。

ダンスも振り付けも演技も区別していないです。「パプリカ」は子どもたちへの応援歌で、振り付けは辻本さんと共作だったから、私が「こんな感じでこんなので!」という気分で踊っているものを、辻本さんがちゃんと「これだったらこうなるな」と形にしてくれました。私だけじゃ地に足がつかないし、辻本さんだけじゃ地に足がつきすぎてしまうから、ふたりでいるとちょうど良いんですよね。

『いだてん』は、本来テレビに出るのはあまり得意ではないんですが、じいちゃんのために出演しました。NHKさんだったら近所の田舎の人たちも観ているから、私が出ることで喜んでくれるから。

ーー現在は世界的にコロナ禍となっていますが、菅原さんは以前、高知県で「よさこい祭り」に参加され、土佐神社で新型コロナウイルスの収束を祈ってエネルギッシュな舞を奉納されていましたね。私の両親が高知県出身なので、世界で活躍されている菅原さんが、高知県から平和を祈る舞を踊られていることが印象的でした。

昨年も土佐神社に奉納に行っていたんですが、まず高知県のよさこい祭りのことを知ったのが3年前で、カメラマンの友だちがよさこい祭りを撮っていて「小春! ! ! 高知だよ! !」と言われて行ってみたんです。初めて行ったときは、汗だか涙だかわからないものがバーッと流れてきて、とてもエネルギーが高い場所で感動的でした。

海と川と山があり、それぞれが研ぎ澄まされているぶん、土地のエネルギーがすごくて。そのエネルギーと一緒にその場にいるみんながダンスして、子どもも大人も関係なく、みんなで3日間よさこいを踊り切るから「こんなところがあったんだ!」といううれしい驚きがありました。

私は千葉県出身で海のそばで育っていて、まわりの環境は大事で。海外もいろいろなところをまわりましたが、高知県のよさこい祭りに参加してみて「日本は踊りが大好きなんだ」と、3年前に知ることができました。

ーー舞台『千と千尋の神隠し』は来年上演予定ですが、エンターテインメント業界においてもコロナ禍により、公演の延期や制限などの影響を受けています。舞台に立つ側として、菅原さんはコロナ禍の前と後で、心境の変化はありましたか。

何が正しくてそうじゃないのか、どうやったら守れるのか。正解がわからないところでみんなが闘っている。そのためにもいろいろなものを全部食べて飲み込んだものを踊る。コロナ禍だとしても、やっぱり、エンターテインメントは止まっちゃいけないと思うから。私がいまできることをやるだけです。

ーーいまみんなが外出自粛をしている期間が長いですが、菅原さんはおうち時間をどのようにお過ごしですか。

私、整理整頓が大好きで、一度整えたものをまたグチャグチャに乱すのもすごく好きなんです。家のなかの風通しを良くしたくて、文房具ひとつとっても「今日はココとココをきれいにしてあげたらいいかな、なんか会話してるな」とか。物も生き物だから、場所を少し変えてあげるだけで、空気の入り方が変わったりするから。そうしたなかで、お料理をしたり、何かを作ったりしています。

ーーいろいろなお話をありがとうございました。では最後に、舞台『千と千尋の神隠し』への意気込みをお聞かせください。

誰かの心をキラキラさせることができたらいいなって。子どもたちの未来になれたらいいなという気持ちで挑みます。

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